読みもの

自分史を1章から始める

生涯をまとめる前に、ひとつのテーマを1章に。テーマの絞り方、1章の見出しの例、素材から原稿にするまでの手順、最初から上手に書こうとしない進め方をまとめました。

自分史というと、生まれてから今までを順に書くものを思い浮かべるかもしれません。このサイトでは、まず「1つの話を、1章にする」ことをすすめています。

1章ができれば、それだけで読める小さな本になります。続けたくなったら、2章目を足していけます。自分自身の話にも、家族の話にも使えます。

なぜ1章からなのか

  • 始めやすい。 生涯全部を書こうとすると、どこから手をつけるかで止まりがちです。1つの話なら、今日から始められます。
  • 形になりやすい。 1章は、数回の聞き取りやメモで形になる量です。このサイトのテンプレートは、A5・8ページ(本文は4ページ)を基本にしています。
  • 確かめやすい。 1章ずつなら、本人に読んでもらい、直してから次へ進めます。

テーマを1つに絞る

次の5つの切り口から、1つを選ぶと絞りやすくなります。

切り口 たとえば
場所 子どものころの家の台所、通った学校までの道、最初に住んだ部屋
人 世話になった先輩、となりの家の人、きょうだい
もの 使い続けた道具、初めての給料で買ったもの、一枚の写真
習慣 毎朝の散歩、年末の大掃除、日曜日の料理
時期 働き始めた年、引っ越した年、子どもが生まれた年

選んだテーマで書けそうか、次の3つで確かめます。

  • その話を思い出すと、ひとつの場面が浮かぶか。
  • 誰に読んでもらいたいか。
  • 書いてよい話か。ほかの人のことを書きすぎていないか。

1章の見出しの例

見出しは、最後に決めてもかまいません。仮の見出しで始めると、何を書くかがぶれにくくなります。

  • 台所の窓から見えたもの
  • 初めての給料で買ったもの
  • 毎朝のラジオ
  • 坂の上の学校
  • 父の工具箱
  • 日曜日の焼きそば
  • 最初の職場の机
  • 縁側の将棋
  • 手紙の書き出し
  • 冬の鍋

素材から原稿にする5つの手順

  1. 素材を集める。 聞いた言葉のメモ、自分のメモ、手帳や日記、写真の裏の書き込み、手紙など。写真に写っている人や、手紙を書いた人がいることも忘れずに。
  2. 分ける。 本人が話したままの言葉、確認できたこと、わからないことを分けて書き出します(キットの3ページ)。
  3. 並べる。 時間の順か、場面の順に並べます。1章づくりの「入力内容を章の形に並べる」は、書いた言葉を書いた順に並べるだけで、言葉を変えたり足したりはしません。
  4. つなぐ。 言葉と言葉のあいだを、短い地の文でつなぎます。話していないこと(出来事、気持ち、理由、その日の天気や景色など)は足しません。わからないことは「わからない」と書きます。
  5. 読み直して、確かめる。 声に出して読むと、つながりのおかしいところに気づけます。家族の話なら本人に、自分の話なら登場する人のことを確かめます。

どう変わっていくかは、見本「家族の食卓の記憶」で、会話から本のページまでを順に見られます(説明用の架空の見本です)。

最初から上手に書こうとしない

  • 箇条書きで始めてよい。 文章にするのは、並べてからで十分です。
  • 話し言葉のままでよい。 本人の言葉は「」に入れて、そのまま残します。
  • 飾る言葉を足さない。 感動的な言い回しを足さなくても、本人の言葉と事実だけで伝わります。
  • まずは下書きでよい。 本人に確かめるまでは「本人未確認の下書き」として扱います。
  • 長くなったら分ける。 書きたいことが増えたら、2章目に回します。

自分自身の話を書くとき

  • 書きたくないことは、書かなくてかまいません。
  • 家族や友人、同僚が出てくるときは、その人のことでもあります。見せる前に確かめるか、名前を伏せます。
  • 見せる前に一晩おいて、もう一度読み返すと、書きすぎたところに気づきやすくなります。

最後に、次のことを確かめておきましょう。

  • テーマを1つに決めた
  • 仮の見出しを付けた
  • 素材を「本人の言葉/確認できたこと/不明点」に分けた
  • 話していないことを足していない
  • 登場する人への配慮を確かめた

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