読みもの

退職祝いの仕事の本

長く続けてきた仕事の工夫、転機、大切にしてきたことを1章に。勤務先の秘密や取引先の名前、同僚の情報への配慮と、サプライズで贈るときに原稿の確認をどうするかをまとめました。

退職や勤続の節目に、その人の仕事の話を1章にまとめて贈る——業績の一覧ではなく、本人の言葉で「どんな工夫をしてきたか」を残す本です。

この記事では、何を聞くか、何に気をつけるか、そしてサプライズで贈りたいときに原稿の確認をどうするかをまとめます。

何を聞くか

仕事の本は、次の3つを軸にすると1章にまとまりやすくなります。

仕事の工夫

毎日の段取り、使ってきた道具、ほかの人に教えてきたこと、失敗してから変えたやり方など。質問「05 長く続けてきたこと」が入口になります。

転機

初めて任された日、担当が変わった日、道具や技術が変わったときなど。質問「04 初めて任されたこと」から聞けます。

大切にしてきたこと

質問「11 大切にしてきたこと」。立派な言葉が出てこなくても、「特にない」という答えも、そのまま受け止めます。

仕事の話を聞くときは、次のような聞き方もできます。

  • 「毎日の仕事で、最初にすることは何でしたか」
  • 「新しく来た人に、最初に教えることは何でしたか」
  • 「やり方を変えたことはありますか。変える前と後で、何が違いましたか」

書かないこと・確かめること

仕事の話には、本人だけのものではない情報が混ざります。次のようなものは、書かないか、本人と一緒に扱いを決めます。

種類 たとえば 扱い方
勤務先の秘密 社内の数字、発表前の計画、取引の条件、仕組みの細かいところ 書かない。「ある工夫」のように一般的な書き方にするか、本人に勤務先の決まりを確かめてもらう
取引先やお客さん 会社名、担当者の名前、個人のお客さんの話 名前は書かない。地名・業種・年などの組み合わせで特定できないかにも気をつける
同僚や上司 名前、仕事ぶりへの評価、失敗の話、家庭のこと その人のことでもある。書くなら、その人に確かめるか、名前を伏せる
会社名・ロゴ・写真 社名、制服、職場の写真 写真に写る人の了承をとる。社名やロゴの扱いは勤務先の決まりに従う

就業規則や契約によっては、退職したあとも秘密を守る決まりが続く場合があります。気になる内容は、本人が勤務先の決まりを確かめるのが確実です。

サプライズで贈るとき

「本を贈ること」をサプライズにするのと、「本人の話を、本人に確かめないまま本にすること」は別のことです。

本人の話(本人の言葉、経歴、出来事)を載せるなら、原稿は本人に確認します。確かめないまま配ると、書かれたくないことが入っていたり、事実と違っていたりしても、配ったあとでは直せません。

サプライズと確認を両立させるには、次のような方法があります。

  1. 本人と一緒に作り、渡し方をサプライズにする。 「仕事の話を聞かせて」と頼むところは本人と一緒に。表紙のデザインや渡す場面、同僚からのメッセージのページを、当日までの楽しみにします。
  2. 本人の話を入れず、メッセージ集にする。 同僚や家族が、それぞれ自分の言葉で書いたメッセージを集めます。書いた人がそれぞれ自分の文章を確かめます。
  3. 確認できないなら、本人にだけ渡す。 「本人未確認の下書き」として本人に渡し、直してから家族や同僚に配ります。

同僚からメッセージを集めるときは、何に使うか、誰に配るかを伝えます。メッセージの中に、ほかの人の話が入っていないかも見ておきましょう。

構成の例(A5・8ページ)

ページ 内容
1 表紙(題と、誰の話か)
2 この章について(聞いた人、聞いた日、使った質問)
3〜6 本文:最初の仕事 → 続けてきた工夫 → 転機 → 大切にしてきたこと
7 残したい言葉
8 制作情報

この形は、最初の1章キットの「1章用の本のテンプレート」と同じです。

進め方の目安

退職日から逆算した一例です。印刷会社に頼む場合の日数は会社ごとに違うので、早めに確かめてください。

  1. 2か月ほど前:本人に頼み、聞く質問を選ぶ。
  2. 1か月半ほど前:1〜2回に分けて聞く(1回20〜30分ほど)。
  3. 1か月ほど前:原稿の下書きを作り、本人に確認してもらう。
  4. 2〜3週間ほど前:直した原稿をもう一度確かめ、印刷する。
  5. 当日:渡す。

最後に、次のことを確かめておきましょう。

  • 仕事の話を本にしたいと、本人に伝えた
  • 勤務先の秘密・取引先やお客さんの名前・同僚の情報を確かめた
  • 本人に原稿を確認してもらった(サプライズにするのは、渡し方だけ)
  • 配る範囲(家族だけ/同僚にも)を本人と決めた

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