見本のテーマ:家族の食卓の記憶

1章の見本「冬の鍋いっぱいのけんちん汁」

質問 → 本人の言葉 → 整理 → 原稿 → 本人に確認 → 本のページ。同じ話が、どう1章になるかを順に見られます。

架空の見本 説明用の架空の家族・会話を用いた見本です。実在の人物の話、利用者の声、取材や制作の実績ではありません。見本のために、まず元になる会話を作り、その会話に含まれる内容だけで原稿を作っています。

1 質問

使った質問

「家族に聞く12の質問」から、食と味の2問を使いました。07は06の答えを受けた質問です。

食と味

思い出す味

質問06 今も思い出す食事や味はありますか。

答えやすくする質問

  • それは、どんなときに食べていましたか。
  • 見た目や香り、器について、覚えていることはありますか。

聞く人へ

料理の名前がはっきりしなくても大丈夫です。材料や色、食べた場所から話してもらいましょう。

食と味

その料理を作っていた人

質問07 その料理は、誰がどんなときに作っていましたか。

06の答えを受けた質問です。 思い当たらなければ別の質問へ。

答えやすくする質問

  • 作っているところを、見たことはありますか。
  • 作り方や分量について、覚えていることはありますか。

聞く人へ

分量や手順があいまいなときは、推測で埋めずに「要確認」と残しておきましょう。

2 本人の言葉

聞き取った会話(元になる素材)

見本のために最初に作った会話です。この会話に含まれる内容だけで、原稿を作ります。行の番号は、あとの編集記録で使います。

  1. 1 聞き手 今も思い出す食事や味って、ある?
  2. 2 父 うーん……やっぱり、ばあちゃんのけんちん汁かな。
  3. 3 聞き手 けんちん汁。
  4. 4 父 冬になると、でっかい鍋で作ってたんだよ。朝から台所で、ごぼうをこう、ささがきにして。
  5. 5 聞き手 それは、どんなときに食べてたの?
  6. 6 父 寒い日の晩ごはん。あとは年末。大みそかだったか、餅つきの日だったか……そこは覚えてないな。
  7. 7 聞き手 見た目とか、においとか、覚えてる?
  8. 8 父 ごま油のにおい。最初に野菜を油でいためるから、家じゅうがごま油のにおいになるんだよ。それで「ああ、今日はけんちんだ」ってわかる。
  9. 9 聞き手 作り方で覚えてることは?
  10. 10 父 豆腐を手でくずして入れてた。包丁を使わないで、手で、ぎゅっと。それは覚えてる。里いもも入ってたな。量は……わからん。鍋いっぱい。
  11. 11 聞き手 味つけは?
  12. 12 父 しょうゆ……だったと思う。みそじゃなかった。たぶん。
  13. 13 聞き手 誰と食べてたの?
  14. 14 父 家族みんなと。あと、となりの〇〇さんが、鍋を持って、もらいに来てた。
  15. 15 聞き手 そうなんだ。
  16. 16 父 「たくさん作るのが一番楽なんだ」って、ばあちゃんはよく言ってた。〔聞き取れない〕……だから鍋は、いつも大きいのを使ってた。
  17. 17 聞き手 今でも、自分で作ることはある?
  18. 18 父 一回だけ作ってみたけど、あの味にはならなかったな。何が違うのかは、わからない。

「〇〇さん」は、実際の聞き取りでは人の名前が出てくる箇所です。見本では伏せています。〔聞き取れない〕は、録音やメモで聞き取れなかった部分です。

3 整理

本人の言葉/確認できたこと/不明点

同じ会話を3つに分けます。推測で埋めず、わからないことは不明点に残します。

本人の言葉(そのまま残す)

  • 「ばあちゃん」 行2・16/料理を作っていた人の呼び方
  • 「ごま油のにおい。最初に野菜を油でいためるから、家じゅうがごま油のにおいになるんだよ。それで『ああ、今日はけんちんだ』ってわかる。」 行8
  • 「豆腐を手でくずして入れてた。包丁を使わないで、手で、ぎゅっと。」 行10
  • 「鍋いっぱい」 行10/分量について話した言葉
  • 「しょうゆ……だったと思う。みそじゃなかった。たぶん。」 行12
  • 「たくさん作るのが一番楽なんだ」 行16/ばあちゃんがよく言っていた言葉として、父が話したもの
  • 「あの味にはならなかったな」 行18

確認できたこと(聞き手のまとめ)

  • 冬になると、大きな鍋でけんちん汁を作っていた。行4
  • 朝から台所で、ごぼうをささがきにしていた。行4
  • 寒い日の晩ごはんに食べた。年末にも作っていた。行6
  • 最初に野菜をごま油でいためていた。行8
  • 豆腐は包丁を使わず、手でくずして入れていた。里いもも入っていた。行10
  • 家族みんなで食べた。となりの家の人が、鍋を持ってもらいに来ていた。行14
  • 鍋は、いつも大きいものを使っていた。行16
  • 父は一度だけ、自分で作ってみたことがある。行18

不明点・要確認

  • 〔要確認〕「ばあちゃん」は、父の祖母か、父の母か。行2・16
  • 〔時期は不明〕年末に作った日は、大みそかか、餅つきの日か。行6
  • 〔要確認〕味つけ。本人も「たぶん」と話している。行12
  • 〔不明〕分量。「鍋いっぱい」とだけ話している。行10
  • 〔聞き取れない〕「たくさん作るのが…」のあとの一言。そのため「だから」が何を受けているのか分からない。行16
  • 〔第三者〕となりの家の人の名前。本に書くかどうか、本人と相談する。行14

4 原稿

第1版(本人未確認の下書き)

「」の中は、話した言葉のまま。わからないところは〔要確認〕のまま残しています。

本人未確認の下書き

冬の鍋いっぱいのけんちん汁

いつ:冬の寒い日。年末にも(日にちは不明)
どこで:家の台所

冬になると、ばあちゃんは大きな鍋でけんちん汁を作っていた。朝から台所で、ごぼうをささがきにしていたという。〔要確認:「ばあちゃん」は父の祖母か、父の母か〕

食べるのは、寒い日の晩ごはん。年末にも作っていたが、大みそかだったか餅つきの日だったかは、覚えていないそうだ。

においのことを聞くと、父はこう話した。

「ごま油のにおい。最初に野菜を油でいためるから、家じゅうがごま油のにおいになるんだよ。それで『ああ、今日はけんちんだ』ってわかる。」

作り方で覚えていることを聞くと、こう答えた。

「豆腐を手でくずして入れてた。包丁を使わないで、手で、ぎゅっと。」

里いもも入っていた。分量はわからない。父の言葉では「鍋いっぱい」。

味つけを聞くと、こう答えた。

「しょうゆ……だったと思う。みそじゃなかった。たぶん。」

家族みんなで食べた。となりの〇〇さんが、鍋を持って、もらいに来ていた。〔要相談:名前を本に書くか〕

ばあちゃんは、よくこう言っていたという。

「たくさん作るのが一番楽なんだ」

鍋は、いつも大きいものを使っていた。

父も一度だけ、自分で作ってみたことがある。

「あの味にはならなかったな」

何が違うのかは、わからないという。

残したい一言

「たくさん作るのが一番楽なんだ」

ばあちゃんがよく言っていた言葉(父の記憶より)

5 本人に確認

本人に確認して分かったこと(見本の設定)

第1版を本人(見本の設定では父)に読んでもらい、分かったことだけを直して第2版にしました。わからないままのことは、わからないまま残しています。

確かめたところ第1版確認して分かったこと第2版での扱い
「ばあちゃん」は誰か 父の祖母か、父の母か〔要確認〕 父の祖母だった。 本文を「父の祖母」とし、父の呼び方「ばあちゃん」も残した。
年末の日 大みそかか、餅つきの日か 父も思い出せなかった。 「覚えていないそうだ」のまま残した。
味つけ 「しょうゆ……だったと思う。……たぶん。」 もう一度聞いても、はっきりしなかった。 言い切らずに、話した言葉のまま残した。
となりの家の人の名前 〔要相談:名前を本に書くか〕 名前は書かないことにした。 「となりの家の人」とした。
聞き取れない一言 〔聞き取れない〕 父も覚えていなかった。 書かないことにした。
見せる相手 未定 家族と親族に渡す。インターネットには載せない。 原稿には書かず、確認の記録として残した。

見本の設定上の確認です。実際の制作では、確認した日や見せる相手を「本人確認チェックシート」や1章づくりの STEP 4 に記録します。本人に確認した原稿でも、インターネットに公開してよいという許可を得たことにはなりません。

6 本のページ

第2版(本人に確認した原稿・見本の設定)を、A5・8ページに

「1章用の本のテンプレート」に入れた形です。画面上のページはレイアウト見本で、印刷した実物の写真ではありません。

  1. 1ページ:表紙 表紙

    冬の鍋いっぱいのけんちん汁

    父の話から

    家族の一冊

    説明用の架空の家族・会話を用いた見本です

  2. 2ページ:この章について この章について

    冬の鍋いっぱいのけんちん汁

    この章について

    この章は、父に「今も思い出す食事や味はありますか。」と聞いたときの話をまとめたものです。

    使った質問
    06 今も思い出す食事や味はありますか。
    07 その料理は、誰がどんなときに作っていましたか。
    話した人
    父
    聞いた人
    子
    聞いた日
    (見本のため記載していません)

    「」の中は、父が話した言葉のままです。

    2

    説明用の架空の家族・会話を用いた見本です

  3. 3ページ:本文 本文 1ページ目

    冬の鍋いっぱいのけんちん汁

    第一章

    冬の鍋いっぱいのけんちん汁

    いつ:冬の寒い日。年末にも(日にちは不明)
    どこで:家の台所

    冬になると、父の祖母は大きな鍋でけんちん汁を作っていた。父は「ばあちゃん」と呼んでいた。朝から台所で、ごぼうをささがきにしていたという。

    食べるのは、寒い日の晩ごはん。年末にも作っていたが、大みそかだったか餅つきの日だったかは、覚えていないそうだ。

    においのことを聞くと、父はこう話した。

    「ごま油のにおい。最初に野菜を油でいためるから、家じゅうがごま油のにおいになるんだよ。それで『ああ、今日はけんちんだ』ってわかる。」

    3

    説明用の架空の家族・会話を用いた見本です

  4. 4ページ:本文 本文 2ページ目

    冬の鍋いっぱいのけんちん汁

    作り方で覚えていることを聞くと、こう答えた。

    「豆腐を手でくずして入れてた。包丁を使わないで、手で、ぎゅっと。」

    里いもも入っていた。分量はわからない。父の言葉では「鍋いっぱい」。

    味つけを聞くと、こう答えた。

    「しょうゆ……だったと思う。みそじゃなかった。たぶん。」

    家族みんなで食べた。となりの家の人が、鍋を持って、もらいに来ていた。

    4

    説明用の架空の家族・会話を用いた見本です

  5. 5ページ:本文 本文 3ページ目

    冬の鍋いっぱいのけんちん汁

    ばあちゃんは、よくこう言っていたという。

    「たくさん作るのが一番楽なんだ」

    鍋は、いつも大きいものを使っていた。

    父も一度だけ、自分で作ってみたことがある。

    「あの味にはならなかったな」

    何が違うのかは、わからないという。

    5

    説明用の架空の家族・会話を用いた見本です

  6. 6ページ:材料と作り方のメモ 材料と作り方のメモ

    冬の鍋いっぱいのけんちん汁

    材料と作り方のメモ

    わかっていること

    • ごぼう(ささがきにする)
    • 豆腐(包丁を使わず、手でくずして入れる)
    • 里いも
    • ごま油(最初に野菜をいためる)
    • 大きな鍋を使う

    わからないこと

    • 分量(父の言葉では「鍋いっぱい」)
    • 味つけ(しょうゆだったと思う。みそではなかった。たぶん)
    • ほかの材料・煮る時間

    実際に作って確かめてはいません(実測・試作はしていません)。

    6

    説明用の架空の家族・会話を用いた見本です

  7. 7ページ:残したい言葉 残したい言葉

    冬の鍋いっぱいのけんちん汁

    残したい言葉

    「たくさん作るのが一番楽なんだ」

    父の祖母(父は「ばあちゃん」と呼んでいた)がよく言っていた言葉。父の記憶より。

    7

    説明用の架空の家族・会話を用いた見本です

  8. 8ページ:制作情報 制作情報

    冬の鍋いっぱいのけんちん汁

    制作情報

    題
    冬の鍋いっぱいのけんちん汁
    話した人
    父
    聞いた人
    子
    原稿
    第2版(本人に確認した原稿・見本の設定)
    使ったもの
    最初の1章キットの「1章用の本のテンプレート」(A5・8ページ)

    説明用の架空の家族・会話を用いた見本です。家庭で試すための読み順レイアウトで、印刷会社への入稿データではありません。

    8

    説明用の架空の家族・会話を用いた見本です

7 編集記録

原稿と、元の会話の対応

第2版の段落ごとに、もとになった会話の行を示します。「引用」は一字一句そのまま、「整えた文」は会話の内容をまとめた地の文です。

原稿(第2版)種類元の会話
冬になると、父の祖母は大きな鍋でけんちん汁を作っていた。父は「ばあちゃん」と呼んでいた。朝から台所で、ごぼうをささがきにしていたという。 整えた文 行2 父:うーん……やっぱり、ばあちゃんのけんちん汁かな。行4 父:冬になると、でっかい鍋で作ってたんだよ。朝から台所で、ごぼうをこう、ささがきにして。
食べるのは、寒い日の晩ごはん。年末にも作っていたが、大みそかだったか餅つきの日だったかは、覚えていないそうだ。 整えた文 行6 父:寒い日の晩ごはん。あとは年末。大みそかだったか、餅つきの日だったか……そこは覚えてないな。
においのことを聞くと、父はこう話した。 整えた文 行7 聞き手:見た目とか、においとか、覚えてる?
「ごま油のにおい。最初に野菜を油でいためるから、家じゅうがごま油のにおいになるんだよ。それで『ああ、今日はけんちんだ』ってわかる。」 引用(そのまま) 行8 父:ごま油のにおい。最初に野菜を油でいためるから、家じゅうがごま油のにおいになるんだよ。それで「ああ、今日はけんちんだ」ってわかる。
作り方で覚えていることを聞くと、こう答えた。 整えた文 行9 聞き手:作り方で覚えてることは?
「豆腐を手でくずして入れてた。包丁を使わないで、手で、ぎゅっと。」 引用(そのまま) 行10 父:豆腐を手でくずして入れてた。包丁を使わないで、手で、ぎゅっと。それは覚えてる。里いもも入ってたな。量は……わからん。鍋いっぱい。
里いもも入っていた。分量はわからない。父の言葉では「鍋いっぱい」。 整えた文 行10 父:豆腐を手でくずして入れてた。包丁を使わないで、手で、ぎゅっと。それは覚えてる。里いもも入ってたな。量は……わからん。鍋いっぱい。
味つけを聞くと、こう答えた。 整えた文 行11 聞き手:味つけは?
「しょうゆ……だったと思う。みそじゃなかった。たぶん。」 引用(そのまま) 行12 父:しょうゆ……だったと思う。みそじゃなかった。たぶん。
家族みんなで食べた。となりの家の人が、鍋を持って、もらいに来ていた。 整えた文 行14 父:家族みんなと。あと、となりの〇〇さんが、鍋を持って、もらいに来てた。
ばあちゃんは、よくこう言っていたという。 整えた文 行16 父:「たくさん作るのが一番楽なんだ」って、ばあちゃんはよく言ってた。〔聞き取れない〕……だから鍋は、いつも大きいのを使ってた。
「たくさん作るのが一番楽なんだ」 引用(そのまま) 行16 父:「たくさん作るのが一番楽なんだ」って、ばあちゃんはよく言ってた。〔聞き取れない〕……だから鍋は、いつも大きいのを使ってた。
鍋は、いつも大きいものを使っていた。 整えた文 行16 父:「たくさん作るのが一番楽なんだ」って、ばあちゃんはよく言ってた。〔聞き取れない〕……だから鍋は、いつも大きいのを使ってた。
父も一度だけ、自分で作ってみたことがある。 整えた文 行18 父:一回だけ作ってみたけど、あの味にはならなかったな。何が違うのかは、わからない。
「あの味にはならなかったな」 引用(そのまま) 行18 父:一回だけ作ってみたけど、あの味にはならなかったな。何が違うのかは、わからない。
何が違うのかは、わからないという。 整えた文 行18 父:一回だけ作ってみたけど、あの味にはならなかったな。何が違うのかは、わからない。

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「1章づくり」の「見本の内容で試す」を押すと、この見本の第1版(本人未確認の下書き)を読み込めます。STEP 3 で元の言葉と原稿を見比べたり、STEP 4 の本人確認の動きを試したりできます。

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実在の人の話を見本にする場合は、本人の許可を得たものだけを、許可された範囲で載せます(編集方針)。