家族の本を作っていると、アルバムの写真、昔の手紙やはがき、日記や賞状など、たくさんの「元のもの」(原本)が手元に集まります。本ができたあと、それをどうしまうかも、本づくりの一部です。
この記事では、写真や手紙の原本を傷めずにしまう方法をまとめます。国立国会図書館が公開している資料保存の解説を手がかりにしていますが、これは図書館の資料を対象にしたものです。ここでは、その考え方を、家庭でできる範囲に置きかえて紹介します。
参考にした解説は、国立国会図書館のパンフレット「国立国会図書館と資料保存」(2026年1月)と、「解説 5分でわかる資料保存」の vol.1 保存容器(2025年3月)・vol.2 装備です。どれも国立国会図書館「マニュアル・パンフレット・翻訳資料」のページから読めます(2026年10月13日確認)。
借りたものは、まず一覧にする
家族や親せきから借りたものは、なくしたり、誰のものかわからなくなったりしやすいものです。最初に一覧にしておきます。
| 何を | 誰から | 借りた日 | 返す日 | 本に使ったか |
|---|---|---|---|---|
| 例:祖母の結婚式の写真 2枚 | 叔母 | 10月5日 | 11月末 | 使った(12ページ) |
写真を撮ったりスキャンしたりしてデジタルにした場合は、ファイル名も書いておくと、あとで照らし合わせやすくなります。デジタルにする方法は「古い写真をデジタル化して本に使う」にあります。
置き場所を選ぶ
国立国会図書館の解説では、高い温度と湿度、不十分な掃除、長い時間光が当たることなどの保管の環境が、虫による食害、カビ、変色を招き、資料が傷む原因になると説明されています(「国立国会図書館と資料保存」)。
家庭では、次のような場所を避けます。
- 日の当たる窓際や、照明が長く当たる棚
- 湿気がこもりやすい場所(結露しやすい外壁ぎわ、水回りの近くなど)
- ほこりがたまりやすく、掃除の手が届かない場所
なお、同じ解説では、国立国会図書館の一般の書庫は温度22℃・湿度55%前後を目安に管理していると紹介されています。これは大量の資料を収める書庫の目安で、家庭で同じにする必要はありません。暑さ・湿気・光の少ない場所を選ぶ、というくらいの考え方で十分です。
クリップ・ホチキス・テープ
- 国立国会図書館は、将来さびるホチキスの針などの金属は資料が傷む原因になるとして、取り除いていると説明しています。これからしまうものには、金属のクリップやホチキスを使わないようにします。
- すでについている古い針やクリップを、無理にはずすと紙が破れることがあります。傷みがひどいものは、そのままにしておき、手を加えるかどうかは慎重に決めます。
- 「5分でわかる資料保存 vol.2 装備」では、接着剤のついたフィルムカバーは、一度貼ると取り除けず、長い目で見ると資料が傷む原因になるおそれがあると説明されています。写真や手紙を、セロハンテープやのりで台紙に貼りつけるのは避けます。
- 台紙に貼りついた古い写真は、無理にはがしません。
箱や封筒に入れる
国立国会図書館の解説「5分でわかる資料保存 vol.1 保存容器」(2025年3月)では、保存容器には、温度と湿度の変化をやわらげる、光・ちりやほこり・虫などから守る、衝撃をやわらげる、といった効果があると説明されています。また、外れたページや付属物をまとめて入れると、ばらばらになるのを防げることや、長期の保存に向いた中性紙の封筒があることも紹介されています。
家庭では、次のようにしまいます。
- 一人の人の手紙、一つの出来事の写真など、まとまりごとに封筒や箱に分けます。
- 箱や封筒の外側に、中身(誰の、何の、いつごろのものか)を書いておきます。中を開けなくても探せるので、原本にさわる回数が減ります。
- 原本そのものには、新しく書き込みをしません。メモは封筒や一覧に書きます。
保存用の箱を探すときは、こちらから:楽天市場で中性紙の保存箱を探す広告/Yahoo!ショッピングで中性紙の保存箱を探す広告
検索の結果には、中性紙ではない箱も混ざります。中性紙かどうか、入れたいものの大きさに合うかは、販売ページの説明で確かめてください。
原本を何度も出さない
国立国会図書館は、資料をデジタル化した代わりのもので利用してもらうことで、元の資料の劣化や損傷を防いでいると説明しています。家庭でも、写真や手紙を見返すときは、デジタルにした控えや、本に載せたページで見るようにすると、原本を出し入れする回数が減ります。
返すとき、渡すとき
- 一覧と照らし合わせて、借りたものが全部そろっているか確かめてから返します。
- 本に使ったものは、どのページに使ったかを伝えます。できあがった本を1部渡すと、喜ばれることもあります。
- 亡くなった人の手紙や写真を誰が持つかは、家族で話し合って決めます。手紙の保管と渡し方は「子や孫に残す手紙の書き方」にもまとめています。
傷みがひどいもの
カビが生えているもの、ぬれてくっついたもの、触るとくずれるものは、無理に開いたり、はがしたりしません。国立国会図書館は、資料の手当てについての簡易マニュアルを公開していますが、貴重な資料や劣化が著しい資料を取り扱う場合は、専門家に相談することを勧めています(「マニュアル・パンフレット・翻訳資料」のページの注意書き)。
最後に、次のことを確かめておきましょう。
- 借りたものを一覧にして、返す日を決めた
- 日の当たる場所、湿気のこもる場所を避けてしまった
- 新しくクリップやテープ、のりを使わなかった
- 箱や封筒の外側に、中身を書いた
- 傷みのひどいものは、無理に開かずに置いておいた
