話を聞く日は、聞く内容よりも先に「録音がうまく取れているか」でつまずくことがあります。あとで聞き返したら、テレビの音で声が聞き取れない、途中で止まっていた、ということは珍しくありません。
この記事では、録音する前に整えておきたいことをまとめます。録音してよいかを本人に確かめる方法と、録音を文章にするときの注意は「録音した話を文章にするときに残したい言葉」にあります。
まず、録音するかどうかを決める
録音は必須ではありません。メモだけでも1章は作れます。
| 録音する | メモだけで聞く |
|---|---|
| 本人の言い回しや口ぐせを、あとで正確に引用できる | 本人が身構えにくい |
| 聞いている間、相手の顔を見ていられる | 準備がいらない |
| 書き起こしに時間がかかる(話した時間の数倍が目安) | 細かい言い回しは残りにくい |
本人が録音を嫌がるときは、録音しないで聞きます。「メモを取ってもいい?」と聞いて、メモで進めれば十分です。
場所を選ぶ
声が聞き取れるかどうかは、機材よりも場所で決まります。
- テレビ、ラジオ、換気扇、エアコンの風の音が少ない部屋を選びます。テレビは消してもらえるか、先に聞いておきます。
- 食器の音や、人の出入りが多い台所・居間の真ん中は避けます。
- 外の車の音が入る窓際より、部屋の奥のほうが静かなことが多いです。
- 本人がいちばん落ち着いて話せる場所を優先します。静かさのために、知らない部屋へ移ってもらう必要はありません。
置き方
スマートフォンの録音アプリでも、話し声は十分に録れます。気をつけるのは置き方です。
- 話す人の口から30〜50cmくらいのところに置きます。聞く人より、話す人の近くに置きます。
- テーブルに直接置くと、コップを置く音や指でたたく音が大きく入ります。ハンカチやタオルを1枚敷くと、やわらぎます。
- 画面を上にして置き、録音中の表示が見えるようにしておくと、止まっていないかを確かめやすくなります。
- 通知の音や着信で止まらないように、機内モードやおやすみモードにしておきます(録音アプリが止まらないかは、試し録りで確かめます)。
長い時間を何度も録る、周りの音が大きい場所で聞く、スマートフォンの容量が足りないといった場合は、録音機(ICレコーダー)や外付けのマイクが役に立つことがあります。選び方は「道具の選び方」にまとめています。
探すときの入り口を置いておきます。どの製品が合うかは、録る場所・時間・使い方で変わります。仕様や返品の条件は、販売ページで確かめてください。
- 録音機(ICレコーダー):楽天市場でICレコーダーを探す広告/Yahoo!ショッピングでICレコーダーを探す広告
- 外付けのマイク(ピンマイク):楽天市場でピンマイクを探す広告/Yahoo!ショッピングでピンマイクを探す広告
1回の長さ
- 1回は20〜30分くらいを目安にします。話し手も聞き手も疲れにくく、あとで書き起こすときも区切りやすい長さです。
- 本人が乗ってきたら続けてもかまいませんが、「疲れたら言ってね」と先に伝えておきます。
- 1回で全部聞こうとせず、「今日は1問だけ」と決めておくと、録音も書き起こしも軽くなります。質問は「家族に聞く12の質問」から1つ選べます。
前の日に試し録りをする
当日にあわてないよう、同じ場所・同じ置き方で1分だけ録って、聞き返しておきます。
- 実際に座る位置で、ふつうの声の大きさで話して録る。
- イヤホンで聞き返し、声がはっきり聞こえるか、雑音が大きくないかを確かめる。
- 録音したデータがどこに保存されたか、ファイル名や一覧で確かめる。
- スマートフォンの空き容量と電池の残りを確かめる。充電器も近くに用意しておく。
当日のはじめに
録音を始めたら、最初に日付と場所、誰の話かを声で入れておくと、あとで整理しやすくなります。
「2026年10月12日、実家の居間で、母に子どものころの話を聞きます」
本人に名前を言ってもらう必要はありません。聞き手が言えば十分です。
録ったあとの保存
録音は、なくしてしまうと取り戻せません。その日のうちに整理しておきます。
- ファイル名を「日付_誰_テーマ」にそろえます(例:
2026-10-12_母_子どものころ.m4a)。 - スマートフォンの中だけに置かず、パソコンや家族で決めた保存先にもう1つ控えを作ります。
- 家族の話は、個人的な内容を含みます。共有のフォルダに置くときは、見られる人を確かめます。本人が「家族だけに」と言った話は、その範囲を守ります。
- 本人が「これは消して」と言った部分があれば、メモに残しておき、文章にするときに使わないようにします。
最後に、次のことを確かめておきましょう。
- 録音してよいか、本人に確かめた
- テレビや換気扇の音が少ない場所を選んだ
- 前の日に、同じ場所で試し録りをして聞き返した
- 空き容量と電池、充電器を確かめた
- 録音したデータに名前をつけ、控えを作った