自分史や家族の本を作ろうとすると、「何から書けばいいかわからない」で止まることがよくあります。そんなときは、文章を書く前に年表を作ると、思い出す手がかりが増えます。
この記事では、自分史の年表の作り方と、年表から最初の1章のテーマを選ぶまでをまとめます。自分のことを書くときも、親や祖父母の話を聞いてまとめるときも、同じやり方が使えます。
年表は「全部書く」ためではない
年表は、生涯を漏れなくまとめるための表ではありません。
- 思い出すきっかけを並べる
- 話の順番や、出来事の前後を確かめる
- 1章にするテーマを選ぶ
この3つに使えれば十分です。空欄が多くてもかまいません。
列を分けて作る
1行を1年(または数年)として、列を分けると思い出しやすくなります。紙やノートで作る場合は、住まい・学校や仕事・家族も別々の列にすると、さらに書き込みやすくなります。
| 年(年齢) | 住まい・学校・家族 | 世の中の出来事 | 思い出したこと |
|---|---|---|---|
| 1958(5歳) | 祖父母の家/幼稚園/弟が生まれる | 東京タワー完成 | 弟を見に行った病院の廊下 |
| 1964ごろ(11歳) | 社宅/小学校 | 東京オリンピック | 近所の家のテレビで見た |
(表の内容は、説明のための例です)
- 住まい:引っ越しを書くと、その家ごとの記憶がまとまって出てきます。
- 学校・仕事:入学・卒業・就職・転勤・退職など、区切りになる出来事。
- 家族:結婚、子どもや孫の誕生、家族との別れ。
- 世の中の出来事:オリンピック、大きな災害、テレビの番組や流行など。「あのとき何をしていた?」と聞く手がかりになります。
世の中の出来事を手がかりにする
自分の出来事だけでは年が思い出せないとき、世の中の出来事と並べると、前後がはっきりすることがあります。
- 「東京オリンピックのときは、どこに住んでいた?」
- 「そのころ、家にテレビはあった?」
- 「大きな地震のとき、どこで何をしていた?」
災害や事件など、つらい記憶につながる出来事もあります。相手が話したくなさそうなら、すぐに別の話に移ります。
世の中の出来事の年は、年表に書く前に、図書館の年表や新聞の縮刷版、公的機関の資料などで確かめておくと安心です。
わからない年の書き方
- 年がはっきりしないときは「1964ごろ」「小学校の高学年のころ」と書きます。推測で年を決めません。
- 家族の記憶が食い違うときは、両方を書いておきます(例:「母は1970年、叔母は1971年と言う」)。
- アルバムの写真の裏書き、手紙の消印、卒業証書、母子手帳などで確かめられることがあります。確かめた場合は、何で確かめたかも書いておきます。
年表から1章のテーマを選ぶ
年表ができたら、全体を眺めて、次のような行に印をつけます。
- 思い出したことの欄が、いちばん長く書けた行
- 話しているときに、表情が変わった行
- 住まいや仕事が変わった「転機」の行
- 家族のほかの人も、同じ出来事を覚えていそうな行
印をつけた中から1つを選んで、最初の1章のテーマにします。テーマの絞り方は「自分史を1章から始める」にくわしく書いています。
親や祖父母の年表を作るとき
- 一度に全部聞かず、年表の1行から質問を1つ選んで聞きます(例:「社宅に住んでいたころの近所の様子」)。
- 生年や学校の名前など、本人に確かめられることは本人に聞きます。
- 本や家族の外に出したくない出来事は、年表に書くかどうかも本人と決めます。
最後に、次のことを確かめておきましょう。
- 年・住まい・学校や仕事・家族・世の中の出来事の列を作った
- わからない年は「ごろ」と書き、推測で埋めていない
- 確かめた情報は、何で確かめたかを書いた
- 年表から、1章にするテーマを1つ選んだ