家族が亡くなったあと、最近の写真の多くはスマートフォンの中や、クラウド(インターネット上の保存先)に残っています。紙の写真と違って、端末のロックやアカウントの手続きがあるため、家族でも簡単には取り出せないことがあります。
先に結論を書きます。携帯電話の解約や、端末の初期化・下取りは、写真をどうするか決めてからにします。 写真を取り出せるかどうかは、主に次の2つで決まります。
- 亡くなった人が、生前に「自分が亡くなったときにデータを見られる人」を設定していたか
- 家族が、端末のパスコード(画面のロックを外す番号)を知っているか
この記事では、Apple(iPhone・iPad・Mac)と Google(Android・Google フォト)の公式の案内をもとに、遺族ができることをまとめます。手続きの条件は変わることがあるので、申し込む前に各社の最新の案内を確かめてください(この記事の内容は2026年10月27日に確認)。
まず、どの場合に当たるかを確かめる
| 状況 | 写真を残す方法の目安 |
|---|---|
| パスコードがわかり、端末が動く | 端末から直接、写真を家族のパソコンなどに移す |
| パスコードはわからないが、生前の設定がある | Apple・Google の手続きで、クラウドのデータを受け取る |
| パスコードがわからず、生前の設定もない | 各社に申請できる場合があるが、書類が多く、受け付けられないこともある |
どの場合でも、亡くなった人のアカウントで勝手にログインを試したり、パスコードを当てずっぽうで何度も入力したりするのは避けます。iPhone では、パスコードを続けて間違えると「iPhoneを使用できません」と表示されてロックされます。10回続けて失敗したらデータを消去する設定にしている場合は、中のデータが消えます(iPhone ユーザガイド「iPhoneでパスコードを設定する」)。
パスコードがわかる場合
端末のロックを外せるなら、写真をそのまま家族の手元にコピーするのがいちばん確実です。
- 端末を充電し、機内モードにはせず、Wi-Fi につなぎます(クラウドだけにある写真を読み込むため)。
- 写真のアプリで、写真の枚数と、古い年の写真まで表示されるかを確かめます。
- パソコンにつないでコピーするか、家族の外付けの保存装置に移します。
- 移した写真を、2か所以上に保存します。
亡くなった人のアカウントの中身を家族がどこまで見るかは、家族で話し合って決めます。写真以外のメッセージやメモには、本人がほかの人に見せるつもりのなかったことが含まれることもあります。
Apple(iPhone・iPad・Mac)の場合
Apple には、亡くなったあとに自分のデータを見られる人をあらかじめ決めておく「故人アカウント管理連絡先」という仕組みがあります(Apple の案内「Apple Accountの故人アカウント管理連絡先を追加する方法」)。
- 設定できるのは iOS 15.2・iPadOS 15.2・macOS Monterey 12.1 以降です。
- 管理連絡先が受け取れるデータには、写真・メッセージ・メモ・ファイル・デバイスのバックアップなどが含まれます。購入した映画や音楽、パスワードや支払いの情報などは含まれません。
- 申請には、設定のときに作られる「アクセスキー」と、死亡を示す書類の両方が要ります。日本では、死亡の記載がある戸籍謄本が必要になる場合があると案内されています(Apple の案内「亡くなったご家族のApple Accountへのアクセスを申請する」)。
申請が認められたあとのことも、公式に書かれています(Apple の案内「故人アカウント管理連絡先としてApple Accountへのアクセスを申請する」)。
- データにアクセスできるのは、最初の申請が承認されてから3年間です。期間がすぎるとアカウントは完全に削除されるため、残したい写真は早めにダウンロードします。
- なくしたアクセスキーは、Apple は再発行しないと案内しています。
管理連絡先が設定されていなかった場合は、裁判所の命令など法的な書類で申請する方法が案内されています。日本では、裁判所の命令の代わりに認められている書類や手続きがあるとされています(上の 102431 の案内)。必要な書類は状況によって違うため、Apple の案内を読んだうえで、申請の窓口で確かめてください。
また、Apple はパスコードがわからない端末について、消去する以外の方法でロックを外す手伝いはできないと案内しています(上の 102431 の案内)。端末を消去すると、端末の中だけにあった写真は消えます。iCloud に写真が保存されていたかどうかを先に確かめます。
Google(Android・Google フォト)の場合
Google には、一定の期間アカウントが使われなかったときに、決めておいた人へ知らせたり、データを共有したりする「アカウント無効化管理ツール」があります(Google アカウント ヘルプ「アカウント無効化管理ツールについて」)。
- 信頼できる連絡先を10人まで指定でき、共有するデータの種類を選べます。
- このツールを設定していない場合、2年以上使われていないアカウントは、データごと削除されることがあると案内されています。
設定がなかった場合は、Google に故人のアカウントについてのリクエストを送り、アカウントの閉鎖を申請できます。場合によっては、故人のアカウントのデータの提供を受けられることもあると案内されています(Google アカウント ヘルプ「故人のアカウントのリクエストを行う」)。ただし、パスワードなどのログインの情報は教えてもらえず、申請に応じるかどうかは審査で決まると案内されています。
携帯電話の解約・初期化の前に
携帯電話の会社によっては、亡くなった人の契約を解約するときに、SIM カードを返すことになっています。たとえば NTT ドコモは、死亡による解約で UIM カードを返すため、電話帳などの情報は別に控えておくよう案内しています(ドコモ「ご契約者の死亡による解約」)。ほかの会社でも、解約の手続きの前に、その会社の案内を確かめてください。
解約や初期化の前に、次のことを済ませておきます。
- 端末のパスコードを知っている家族がいるか確かめた
- 生前の設定(Apple の故人アカウント管理連絡先・Google のアカウント無効化管理ツール)があったか、本人のメモやエンディングノートを見た
- 写真がどのクラウド(iCloud・Google フォトなど)に保存されていたかを確かめた
- 端末を消去・下取り・処分する前に、写真を取り出すか、取り出せないと判断した
- 取り出した写真を、2か所以上に保存した
国民生活センターも、パスワードがわからないと第三者がロックを外すのは難しいとして、生前にロックの外し方を家族に伝えておくことや、アカウントにアクセスできる人を指定できるサービスを使うことを勧めています(「今から考えておきたい『デジタル終活』」2024年11月20日)。ロックを外せると広告している業者に頼む場合は、必ずできるとは限らないことと、料金や端末の扱いを、頼む前に確かめてください。
取り出した写真を、家族で見られるようにする
取り出した写真は、数が多くても、まず家族で見たい写真を選ぶことから始めます。
- 遺影や法事に使う写真を探すときは「遺影に使う写真の選び方」
- 紙の写真と一緒に整理するときは「亡くなった親の写真・アルバムを整理する」
- 遠くに住む家族と見るときは「離れて暮らす祖父母と孫の写真を共有する方法」
自分の写真のために、いまできること
この記事を読んで、自分の写真が気になった人は、次の2つをしておくと、家族の手間が減ります。
- iPhone なら故人アカウント管理連絡先を、Google のアカウントならアカウント無効化管理ツールを設定する
- 家族に見てほしい写真を、アルバムにまとめておく
